お墓は誰のためのもの?【岸和田で墓石屋をはじめて148年】
2020/10/26
近年、墓じまいのご依頼が増えてきました。
”あとをみてくれる人がいない” のが一番の理由です。
というか、これ以外の理由の方はいない、と言っても過言ではありません。
墓じまい は悪いことではありません。
墓じまいをされた方は 「これでほっとしました」 とおっしゃいます。
”ほっ” としたのはお墓参りから解放されたからではありません。
自分がいなくなったあと、だれもお墓参りする人がいなくなって、墓地が荒れ果てる心配がなくなったから。
”ほっ” とするのと同時に寂しさを感じる方も少なくありません。
これもご先祖様を大切に思えばこそです。
そんな中、こうした風潮とは違ったお考えのお客様がいらっしゃいました。
奥様を亡くされたご主人がご来店されました。
子供は娘さんだけで、すでに嫁いでいらっしゃいます。
「あとをみてくれる人はいないけど、自分が元気なうちはお墓に眠らせてあげたい。
病院に通うようなこともなかったし、お墓を建てるのはせめてもの奥さん孝行かな。」
とおっしゃっていました。
素敵なご夫婦だな、と感動しました。
まだまだこれから夫婦仲良く過ごしていきたい、と思っていたんだろうなと思います。
お墓に手を合わせることで、ご主人様の寂しさを少しでも和らげることができたなら、
微力ながらお力になれたことを嬉しく思います。
お墓は
”亡くなった人だけのため” のものではなく、
”残された人のため” のものでもある、ということを
改めて教えてくださったお客様でした。